財務省の問題を整理

経済政策

数日前に「財務省陰謀論」が話題になり、何人かの政治家が火消しに回りました。

加藤財務相「ネットの噂にコメントする考えない」 陰謀論など財務省Xへの批判受け

国民・玉木氏「陰謀論やめて」 SNSで広がる財務省批判を“火消し”

財務省陰謀論とは

財務省の経済を無視した緊縮財政的な政治への働きかけに対して、一部に陰謀論のようにも見える言説が、一部の積極財政派から噴出しており、その中には「財務省を解体しろ」「財務省を爆破しろ」というような過激なモノも見られるようになりました。 「財務省陰謀論」の明確な定義はありませんが、このような過激な財務省批判を揶揄する表現として「陰謀論」という説明が出てきているのでしょう。

この「財務省陰謀論」と呼ばれる意見の内容を見ると以下のような共通点があると思います。
「財務省は報道機関や多くの政治家を国税庁を操って緊縮財政へと誘導している」
「財務省は天下り先を確保する為に際限なく増税を求める」
「財務官僚が財務省で出世する為には経済の状況には関係無く増税する必要がある」
というものがあり、 全体として、
「財務省は国家経済に関係無く省益の為に際限なく増税を求め、歳出を際限なく削ろうとする」
という認識があるようです。

また、過激な意見には、中川昭一元財務大臣の死にも関与していたとか、先の安倍晋三元総理の暗殺事件にも裏で関与しているとか、まるで不当に国家権力を操って、積極財政派の政治家を「秘密裏に死に追いやっている」という言説も見られます。

政治家が火消しに回っているのは、こういった過激な言説です。

財務省の問題とは

マクロ経済政策でデフレ脱却を目指す上で、財務省の働きかけに問題があるのは事実です。
財務省は緊縮財政的な思考の政治家に働きかけ「国債発行の有害さ」や「税収の不足」について、国家のバランスシートや税収増加率など不利な事実を意図的に隠蔽して、財政危機や国際価値の暴落など、非現実的な財政危機論を報道機関に働きかけて、吹聴しています。
また、実際に政治家に「ご説明」により働きかけて、経済成長を犠牲にしてでも、財政均衡に拘る政策(増税や歳出削減)を推奨しているのは事実です。

では、なぜ財務省は経済成長を犠牲にしてでも、財政均衡に拘るのでしょう。
これについては、政治家の木原誠司さんや玉木雄一郎さんがテレビ報道やSNSなどで説明しています。 その説明を簡単に要約すれば、以下のようになると思います。

財務省の役割は財務省設置法に明記されており、そこには「健全な財政」(実質的に財政均衡のこと)に責任を持つ事が書かれている。
しかし、財務省は経済に責任を持つ事は義務づけられていない。
経済に責任を持つのは内閣と内閣府であり、財務省が経済に責任を持つのは越権行為にすらなる。

私は、この件について、生成AIの Claude に質問してみました。 その結果が以下のリンクとなります。

「経済あっての財政」に法的裏付けはあるの?Claudeに質問する

先の政治家の説明では「経済に責任を持つのは内閣府」という説明になっていますが、Claudeの回答を見る限り、「経済あっての財政」を裏付ける法律は無く、与党の総理総裁が「経済あっての財政」を政策方針として掲げない限り、「財政均衡を経済に優先する」事も法的に可能になってしまいます。
また、明確に「経済に責任を持つのは、誰なのか」という点も、法的に明確ではありません。
結果的に財政政策では「健全な財政」に責任を持つ事を明確に記述している財務省設置法が、経済に優先する状況になっています。
内閣総理大臣と与党総裁が明確に「経済あっての財政」を政策として推進しない限り、「健全な財政」が「経済成長」より優先されてしまうことになります。

つまり、財務省の問題は、「財務官僚の緊縮的働きかけ」よりも、
法律に「経済に責任を持つ省庁」が明確に記載されていないことと、
「財政より経済を優先する」ことが法的に義務づけられていないこと、
そして「財務省に経済成長に責任を持つ義務が与えられていない」事が、
根本的な原因のようです。

SNSでは、財務省陰謀論か緊縮財政論かの二者択一の議論ばかり、盛り上がっていますが、本来考えなければならないのは、「法律の欠陥」についてだと、私は思いますね。

議論が、「財務官僚の陰謀」のような極論にばかり傾くので、本来の法的問題点に注目が集まらない状態になっていることは、積極財政派の方々は自覚した方が良いと思います。

 

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