前岸田総理は「経済あっての財政」と言いましたが、経済成長が財政均衡に優先する事を裏付ける法律は存在するのですか。
経済成長と財政均衡に関する直接的な優先順位を定める法律は、日本には存在しません。
実際の法的枠組みとしては:
財政法第4条では、公債発行について厳格な制限を設けています。ただし、公共事業費等の財源としての発行は認められています。
財政健全化法では、財政の健全性に関する指標と基準を定めています。
経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)では、経済成長と財政健全化の両立を目指すとされていますが、これは法的拘束力を持つものではありません。
前岸田総理の「経済あっての財政」という発言は、政策的な優先順位や考え方を示したものであり、法的な根拠に基づくものではありません。これは政策判断として、経済成長を重視する立場を表明したものと解釈できます。
財政と経済の関係については、経済学的にも様々な議論があり、一概にどちらが優先されるべきかを決定することは難しい問題です。例えば、財政均衡を重視しすぎると経済成長を抑制する可能性がある一方で、財政規律を軽視すると長期的な経済の安定性を損なう可能性もあります。
何人かの政治家の説明によると、
現在の経済と財政の関係は、財務省が財政健全性に責任を持ち、経済成長や雇用情勢には主に内閣府が中心になり、他に総務省や経済産業省が責任をもって、経済政策と財政政策の方針を決める体制になっていると言うことです。
財務省は経済に責任を持つ役割は与えられていないということですが、これは正しいですか。
また、この説明に法的裏付けはありますか。
この点について詳しく説明させていただきます。
各省庁の役割と権限は、主に「国家行政組織法」と各省庁の設置法によって定められています。
財務省の役割については、「財務省設置法」で以下のように定められています:
財政、金融、国庫、通貨、国有財産等の管理
税制の企画立案、税の徴収
関税、外国為替等の管理
内閣府については、「内閣府設置法」により:
経済全般の運営の基本方針の企画立案
経済財政政策の調整
経済社会総合研究所による経済分析 などが定められています。
しかし、これらの法律は:
各省庁の所掌事務を定めているものの、経済政策と財政政策の優先順位や、どの省庁が「経済に責任を持つ」かについて明確な規定はありません。
むしろ、経済財政政策は政府全体として取り組むべき課題として位置づけられています。
特に、経済財政諮問会議(内閣府に設置)では、財務大臣も構成員として参加し、経済財政政策の重要事項の調査審議に関わっています。
したがって:
財務省が「経済に責任を持つ役割は与えられていない」という説明は、法律上の明確な根拠があるとは言えません。
むしろ、財政政策は経済政策の重要な一部であり、完全に切り離すことは難しいと考えられます。
各省庁は、それぞれの所掌事務の範囲内で経済政策に関与する形となっています。
なお、政府の経済財政運営の実務においては、ご指摘の役割分担が慣行として定着している面はあるかもしれませんが、これは法律による明確な規定というよりも、行政運営上の実態として理解するのが適切でしょう。
『どの省庁が「経済に責任を持つ」かについて明確な規定はありません』
『経済財政政策は政府全体として取り組むべき課題』
『財務省が「経済に責任を持つ役割は与えられていない」という説明は、法律上の明確な根拠があるとは言えません』 とのことですが、
どれも法律に明確な規定が無いのなら、行政判断で「財政を経済より優先する」事も法的に可能ということになりませんか。
また、どの省庁も「経済に責任を持つ」事は義務づけられていないと解釈する事も可能ではないでしょうか。
ご指摘の通りです。
現行の法体系では、以下のような解釈が可能となります:
行政判断による優先順位付けの可能性
法律上、経済と財政の優先順位が明確に規定されていない以上、行政府の判断で財政健全化を経済成長より優先することは法的に可能です。
これは逆に、経済成長を財政健全化より優先することも法的に可能であることを意味します。
責任所在の不明確さ
どの省庁も法律上「経済に責任を持つ」ことが明確に義務付けられていないため、経済政策の最終的な責任の所在が不明確となっています。
これは、各省庁が「自らは経済に責任を持つ立場ではない」と主張することを法的に可能にしています。
政策調整の課題
経済財政政策が「政府全体として取り組むべき課題」とされる一方で、具体的な責任の所在や優先順位が法定されていないことは、省庁間の政策調整や意思決定を複雑にする要因となり得ます。
各省庁が「自分の領域ではない」と判断する政策課題が生じる可能性もあります。
このような法的枠組みの現状は、経済政策と財政政策の実施における課題を提起していると言えるかもしれません。
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