前月比・コアコアCPIが年率換算2.0%を下回りました

時事

11月24日に総務省より10月分の消費者物価指数が公表されました。

総務省 – 消費者物価指数(全国・2023年10月分)

以下は引用です。

◎ 概 況

(1) 総合指数は2020年を100として107.1

前年同月比は3.3%の上昇 前月比(季節調整値)は0.7%の上昇

(2) 生鮮食品を除く総合指数は106.4

前年同月比は2.9%の上昇 前月比(季節調整値)は0.5%の上昇

(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は105.8

前年同月比は4.0%の上昇 前月比(季節調整値)は0.1%の上昇

 

以前、9月分消費者物価指数の報告をしたときにも説明しましたが、消費者物価指数には、前年同月比と前月比の二つの値があります。

前月比インフレ率(コアコアCPI)は下がり始めている

同じ説明の繰り返しになりますが、

前年同月比は、2022年10月と比較した物価上昇率であり、

前月比は2023年9月と比較した物価上昇率です。

前月比は一ヶ月分の物価上昇率ですが、

前年同月比は一年分の物価上昇率です。

「一ヶ月分の物価上昇率」と12の積を取ると、年率換算のインフレ率になります。

総合指数(CPI)は、前月比0.7%ですから、年率換算で8.4%になります。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は、前月比0.1%ですから、年率換算で1.2%となります。

前年同月比CPIは、過去12ヶ月分の前月比CPIを合計した値でもあります。

前年同月比CPIは、過去12ヶ月分の前月比CPIを年率換算した値の平均値と見なす事もできます。

前年同月比のCPIは12ヶ月分の平均値なので、急激な物価上昇率の変化が数値に表れません。

今の日本経済は、海外の資源高や、天候不順による農作物の価格高騰が起きていて、物価上昇率が変動し易い状況にあります。

こういう状況では、変化が素早く数値に表れる「前月比」の値を見る必要があります。

前月比での総合CPIは8.4%で非常に高くなっています。

しかし、コアコアCPI(生鮮食品とエネルギーを除く)は、1.2%でインフレ目標の2.0%を下回ってしまいました。

まず、総合指数(CPI)のグラフからです。前月比は年率換算です。

8.4%のひどい物価上昇が起こっています。ただ、4月にも6%を超える高い物価上昇が起きています。単月だと大きな値も珍しくないです。

次は、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)です。前月比は年率換算です。

問題はこちらで、ここ半年ぐらいインフレ率が下がっているのが分かります。

政府と日銀が採用するインフレ目標政策では、長期的安定的にコアコアCPIが2.0%を超える状況が継続する経済状況を目指しています。

そういう意味では、コアコアCPIが2.0%を下回ったのは、良くない状況です。

品目別の前月比・寄与度を見てみます。

物価上昇に大きく寄与しているのは、「光熱水道」と「生鮮食品」である事がわかります。

10月の日本の物価上昇状況は、明らかに野菜など生鮮食品と、燃料代や電気代などエネルギーの物価上昇を主にするコストプッシュインフレの状況と言えます。

賃金上昇などは、コアコアCPIの方が上昇しなければなりませんので、賃金上昇率が下落する状況にあると言えるでしょう。

まだ、単年度ですので、長期的トレンドとは言えませんが、政府は財政出動により、家計の消費を支援すべき状況にあると言えると思います。

半年ぐらいコアコアCPI前月比が下がる傾向にあるのは、無視できません。

今の政府がやるべき施策は、総合CPIを下げて、コアコアCPIを上げる政策です。

政府は来年6月までに17兆円の財政出動を実施する補正予算を国会で可決しました。

一刻も早く実施して欲しいと思います。

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