税収予測を、もう一度やる
以前、「GDP成長率と税収成長率の基礎知識」という記事で、GDPと税収弾性値の解説と、アベノミクス期間中の単年度税収弾性値の平均値から、将来の税収を単純計算で予測してみました。
その後に22年度の税収が上振れして71兆円を超えることが明らかになりました。
また、7月20日に内閣府より2023年度の内閣府年央試算が公表されました。
この年央試算によると、23年度の名目GDP成長率は4.4%で、24年度は2.5%になる事が試算されています。
これらの、
22年度の税収71兆1373億円、
23年度の名目GDP成長率は4.4%で、24年度は2.5%
という数値を元に、記事「GDP成長率と税収成長率の基礎知識」で行った、将来の税収予測を、計算し直してみました。
その結果を、ここに掲載したいと思います。
税収弾性値は、前回と同様に、2013年以降のアベノミクス期間の単年度税収弾性値の平均値を使用しています。
消費税増税の影響を除くため、2014年と2019年の値は除いています。
また、2020年以降のパンデミック期間も除いています。
具体的には、2013年・2015年・2016年・2017年・2018年の単年度税収弾性値の平均値を使用しています。
単年度税収弾性値の平均値は、4.4とします(名目GDP基準)。
内閣府年央試算には25年度のGDP成長率は掲載されていませんが、仮に24年度と同じ2.5%の成長率が得られたら、名目GDPと税収がいくつになるか単純計算しています。
前回は名目値だけでなく、実質GDP基準の値も掲載しましたが、今回は名目GDP基準の値のみ計算しています。
税収は名目値ですので、本来は名目GDP基準でのみ税収弾性値を使用します。
2022年度の計算基準
名目GDP = 562.7兆円
一般会計税収 = 71兆1373兆円
2023年度予測
名目GDP成長率 = 4.4%
名目GDP = 587.4兆円
一般会計税収 = 84兆9095億円
2024年度予測
名目GDP成長率 = 2.5%
名目GDP = 602.1兆円
一般会計税収 = 94兆2490億円
2025年度予測
名目GDP成長率 = 2.5%
名目GDP = 617.2兆円
一般会計税収 = 104兆6170億円
2023年度の一般会計予算
23年度一般会計予算 = 114兆3812億円
(2022年度の当初予算より1兆4192億円増えて過去最大)
ここから、国債償還費16兆円を除きますと、98兆円となります。
また、税外収入として9兆3182億円が計上されています。
税外収入額を除くと必要な予算は、89兆円となります。
財政均衡の可能性高まる
以上の単純計算では、2024年度には税収が94兆円超になり、これに税外収入9兆円強の歳入があります。合計103兆円です。
歳出から国債償還費16兆円を廃止しますと、必要な予算は98兆円となり、仮に二年間で予算が3兆円膨らんでも歳出101兆円となりますから、歳入103兆円なら財政黒字となります。
仮に名目GDP成長率が25年度も2.5%を維持しますと、
歳出が 114.4 + 4.5 – 16 = 102.9兆円
歳入が 104.6 + 9.3 = 113.9兆円
差額 113.9 – 102.9 = 11兆円
となり、11兆円もの黒字会計となります。
私は国債償還の必要性は無いと考えていますが、仮に百歩に譲って財政黒字分を償還に充てれば、25年度以降は税収の黒字分11兆円以上を国債償還に充てることが可能となります。
以上から、日本政府の財政は「破綻」にはほど遠い状況である事が分かります。
以上、内閣府年央試算に基づく、将来の税収予測でした。