2023年2月24日衆議院、植田和男総裁候補所信聴取・公明党

経済政策

 

公明党 岡本三成(おかもと みつなり)

 

公明党の岡本三成です質問の機会いただきましてありがとうございます。

まず始めに植田さん公認この度日銀総裁の要請を受けていただいたこと本当にありがとうございます。

今の経済状況金融の状況等を考えますと、大変な職責ですので辞退されてもおかしくないようなポジションだと思っています。

まあその上で今回挑戦するその決意を固めていただいたことに、まずは心から敬意を表したいと思います。

今まで出場された方々と被るような質問がありますので若干角度を変えて質問させていただくこともありますので、ぜひ内容をよく吟味いただきながらお答えいただければと思うんですが、ぜひ私自身が同様したいと思う答弁を期待いたしますのでよろしくお願いいたします。

まず日本銀行は誰のものかという議論があります。中には政府のものという人もいます誰のものでもないという方もいます。私はですね日銀は国民のものだというふうに思っています。まあその観点から、まず質問させていただきたいと思います。

この日銀の理念についてまず伺います。

日銀法の第二条には日本銀行は通貨および金融の調整を行うにあたっては物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること国民経済の健全な発展することを持ってその理念とする、とあります。

海外の中央銀行を考えますとアメリカの中央銀行にあたるFRBはそのマンデートの中に物価の安定に加えて雇用の最大化もあります。他の主要国の中央銀行もいろんな形で雇用や賃金についても、責任のあるような金融調節を行っているというふうに私は理解をしておりますけれども、この国民経済の健全な発展にするということは雇用の最大化や賃金の上昇についてもその理念に含まれていると私は理解しておりますけれどもいかがでしょうか。

 

植田参考人。

議員のご指摘の点でございますが、日銀法の記述は、第一義的な日銀の目標物価の安定で、それを通じて国民経済の健全な発展に資する、という書きぶりになっております。で、この点に関するわたくしの、まだ学者としてということになるかもしれませんが理解は次のようなものでございます。

物価の安定は 経済 にとって極めて重要なインフラである。というふうに考えています。そのインフラが確保されることによって、一般の国民はマクロの物価が変な方向に動いていくという心配をせずに、自分の家計企業としての経済活動に全力を持って取り組むことができる。 そういう無駄な心配を起こさせないための、「物価の安定」それをインフラとして確保する、というのが中央銀行まず第一の仕事である。それが達成されますと国民があの自由に経済活動を活発に行うことができる、能力を充分発揮することができる、その結果として例えば生産性のようなものが、そうでない場合に比べて極めて高い水準で伸びていく可能性がある。それが賃金の上昇、特に実質賃金の上昇にもつながる。このことを日銀法は「日本銀行は物価の安定を図ることによって国民経済の健全な発展に資する」というふうに書いているのではないか、というふうに私は解釈しております。

 

岡本三成

続きまして政府と日銀の共同声明アコードにつきまして、わたくしはアップデートする必要があるというふうに思っています。

経済状況も金融市場も生き物です。

10年間様々な状況が変わってきております。

従いまして内容をアップデートする必要がわたくしはあるというふうに思っています。

10年前のこのアコードの内容を今一度見ますと、これは政府と日銀の政策連携についてでありますので、日銀の役割そして政府の役割お互い確認をしておりますけれども、私はこの共通の役割の中に「目標として持続的な賃金の上昇」という文言をぜひ入れていただきたいというふうに考えています。

もちろんですね、さきほど来、総裁候補がおっしゃっていらっしゃるように実質賃金も実際にコントロールすべきではない、そのとうりだと思いますですから具体的な内容その角度については議論をしていただく必要があると思いますけれども、例えば生産性の向上が必要なので、その生産性の向上が実質賃金につながる、というお話も先ほどありましたが、今のアコードの中にも政府の役割として生産性を向上を、実現するための財政的な役割を果たしている、という風な文言もあります。

実際にですね、この賃金の上昇ということがアコードの中に盛り込まれますと、国民や市場に対するメッセージが非常にクリアになるんですね。

アコードの目的というのは「政府と日銀がどこにゴールを設定して、お互いの役割を実現しようとしているか」であります。

政府は今、賃金の持続的な上昇ということを何よりも経済政策の優先順位第一位に置いていると思っています。同じ思いが日銀の中にあると思っています。その役割を全部日銀にお願いしたいということではなくアコードの中の共通の目標として掲げることによって、お互いの守備範囲を守っていくという意味で、ぜひこの文言を加えていただくようなことを今後政府に要請して行きますので政府から提案があった時には前向きに取り組んでいただきたいと思いますがいかがでしょうか。

 

植田参考人。

この点につきましては、先ほども申し上げましたとおり、確かにあの賃金・実質賃金含めまして、その上昇は日本銀行にとっても非常に、重大な関心事でございますし、実現されることが望ましいと考えております。

しかし、それに対する地方銀行としての関わりは、先ほど申し上げましたように、まず物価の安定という環境インフラをきちんと整備する。その果実として実質賃金・生産性の上昇が生まれてくる。というふうにわたくしは考えてございます。

従いましてこれを、政策の直接の目標いうところに加えるいう点につきましては、ちょっと躊躇される、っていうところでございます。

 

岡本三成

次にYCCについてお伺いいたします。

現在10年セクターの金利をコントロールされています。

このイールドカーブコントロールの目的はですね、市場に供給した資金が成長性に帰するように、活用してもらう、ということだというふうに私は理解しています。

そう考えますと10年の年限で資金を調達する企業はほんの一部のインフラ企業に限られてまいります。先ほど来、候補がおっしゃっている、「生産性の上昇を伴って賃金を上げる」と言うことを考えますと労働人口が最も多い中小小規模企業に対して、どのような資金をどのように提供するか、ということが重要になってまいります。

中小企業は設備投資資金だって3年から5年セクターが主な調達の人間です。そう考えますと決して日銀のリスクアマウントを小さくしたいという趣旨ではなくて、市場に対する生産性向上のための資金を提供すると言う、その目的において10年のターゲット年限を短くして行くことが私は必要ではないか、と考えているんですがいかがでしょうか。

 

植田参考人。

たしかに多くの企業の借り入れの期間の長さは10年よりも短いものである、ということであるかと思います。

ただしそれは仮にイールドカーブコントロールをするときに、関連金利を目標にするのが良いか、という点になりますと10年をコントロールしていたと致しましても、イールドカーブが奇麗な形をしていれば3年から5年のところも低位に維持される、という効果があるようにございます。ここはもう少しあの今行われているオペレーションの作用緩和策の効果を、まあ乗らないといけないと思いますが、そういうふうに考えてございます。

 

岡本三成

まそのように準イールドの状況を作り続けるようなことオペレーションが可能であって、それが日銀のバランスシートに対する負担がそれほど過度ではないということであれば、まあそういう選択肢もぜひお考え頂ければと思います。

そしてその日銀のバランスシートの健全化正常化ということについてお伺いしたいと思います。

昨年末の日銀の総資産704兆円、このうち長期国債は556兆円にのぼります、今後金利が上昇してくれば当然含み損が出てまいります。私はですね中央銀行の含み損は問題がないというふうに思っています。国債はクレジットリスクがありません。先ほど総裁候補がおっしゃったように今後仮に売りオペをやるようなことがなければ、あくまでも含み損で最後は100%で帰ってまいります。従いまして、民間銀行とは違いますし、すでに世界の中央銀行例えばオーストラリアやイスラエルでも、まあ資本が毀損しているような状況を過去に経験してますけれども、別に何の問題が起きておりませんので、まあその意味で債務超過になっても私は中央銀行は問題がないと思っています。

まあただですね日本はドルやユーロと並ぶ基軸通貨に円を育てていきたいとずっと思っておりますし、今もそう考えていると私は理解しております。まあそのためにはやはり市場の信頼を常に獲得していくことが重要です。例えばアメリカのFRBやイギリスの中央銀行は、もし試算にその債務超過になるような大きな真相が出た時には、それを政府に転嫁する仕組みがそれぞれ形は違います、これもできています。まあ日銀が今そういう危機的な状況にあるという趣旨では全くなくて同様に将来の万が一の時のために市場に適切な信頼を与える意味からもいざという時のその、債務超過の状況、含み損の状況、その状況が発生したときに政府に転嫁するような仕組みを将来のどこかで考えるべきだと思いますがいかがでしょうか。

 

植田参考人。

大変重要なご指摘ではございます。

ただあの政府と中央銀行で、中央銀行のオペレーションで発生した、あるいはそうかもしれない損失をどういうふうに負担し合うかっていう点の仕組みは、国によってまちまちであるかと思います。現在の日本では例えば債権に関しましては、日本銀行が収益の一部を債券取引と損失引当金として積み立てるっていう仕組みで対応するという、取り付けになってるかな、と思っております。その上でこれも議員ご指摘のように、多少収益で赤字が出るあるいは評価上、債務超過になる、ということで中央銀行のオペレーションができなくなるということではやはり全くないという風に考えてございます。

ただその前提として、オペレーションを続けられる、という前提としては、やはりその中央銀行が発行しております「通貨」これに対する信頼信任が確保されている、ということが極めて根本的な重要点でございます。そのために物価の安定を維持するという政策が、第一義的な目標として設定されている、というふうに考えてございます。

 

岡本三成

日銀総裁の大切な役割の一つ最も大切だと私は思っているのは、市場との対話だと思います。金融政策のスポークスパーソンであり、他に誰も代わりおりません。金融政策においては政策決定会合で九人の審議委員の皆さんが議論をし最後は多数決、総裁ご自身も一票しか持っていらっしゃいません。総裁がすべて決めるわけではありませんですから、今後市場との対話に大変大きなエネルギーをかけていただきたいと思っています。

黒田総裁は経済を大きく飛躍させなければならなかったこともあって、ものすごいサプライズなコミュニケーションやってらっしゃいました。それが功を奏したところもあると思います。

今後は、ある意味で出口も見据えながら、非常に丁寧な緻密なコミュニケーションが必要ですので、私はサプライズは適切ではないと言うふうに思っているんですが、学者出身の総裁候補でもあります、データドリブンでそして理論的な様々な政策を至上とどのように今後対話をされるか、ということを、今後のまあ「御決意」についてお伺いしたいと思います。

 

植田参考人。

議員おっしゃいますように、市場との対話は極めて大事と考えております。そういう観点からはあのまああの、平凡な言い方になって申し訳ありませんが、経済金融情勢に関する我々の地方銀行の見方、あるいはそれを踏まえた政策について、わかりやすく情報発信を行っていることが極めて重要である、と考えております。

サプライズがあってはならないというご指摘もございましたが、ええやはり政策例は毎回毎回その間に入ってくる新しい情報で、将来の見通しを変化させ、それに基づいて政策の場合によっては変更する。というやり方を取りますので、時と場合によってはサプライズ的になる、ということも避けられない面があるかと思います。

ただその場合でも考え方を平時から、に平易に説明しておくことによって、そうしたサプライズは最小限に食い止めることが可能かな、というふうに思っております。

就任を認めいただけた場合には、各種のデータを丹念に分析するところに、ヒアリング情報の活用し、判断を論理的に行い、政策申し上げましたように、その背後にある考え方について丁寧に情報発信して行きたいと思っております。

 

岡本三成

最後に質問させていただきます。

為替についてお伺いいたします。

2002年7月6日の日経新聞で植田さんこのようにおっしゃっています。

円安は日本経済全体にはプラスの影響。ただ輸入物価が上がるような形で、恩恵が少ない層に対する分配政策が重要である。政府との意思疎通が重要。

つまりGDPを最大化させるような形で金融政策を行うことが日銀の役割であり、その結果しっかりとした分配政策を行うのは政府の役割。それが故に意思疎通が重要であると言うふうなお話だと思いますが、これはあの数の水準の話を伺っているわけではありません。日銀の金融政策というのは、為替のレベルを目標としてやっていらっしゃることではないことを理解しております。ただ日銀の為替との関わり方、為替市場における日銀の役割どういうふうに考えていらっしゃるか、お願いします。

 

植田参考人。

ご指摘のように、日本銀行としては為替相場の水準やその評価について具体的にコメントする、ということは差し控えるべきだ、思っております。

その上で一つ一つの円安円高の局面において、それが様々な影響を経済に及ぼすということについては極めて注意深く見守っていかないといけないっていうふうに、当然のことでありますが思っております。

円安は輸出企業グローバル企業の収益にプラス、あるいはインバウンド事業に増加させる、という効果があればサービス業にもメリットをもたらします。

しかし一方で輸入材に頼っているような企業、あるいは食料品の価格上昇を通じて家計の生活に苦しい影響ございます、ようなさまざまなマイナスもございます。

このように為替変動が経済に及ぼす影響は局面にもよりますし、為替変動のスピードにもよりますが、極めて不均一、またエピソードによって異なる、という点に注意しつつ経済への影響を把握してということが重要かと思っております。

その上で局面によりましては、円安のプラスとマイナスの効果が及ぶ層が大きく異なっている、という中で分配政策で対応する余地があることを、あくまであの経済学者として当時は理論的な考え方を述べたということでございます。

 

岡本三成

ありがとうございました、ご活躍を期待しております。以上です。

植田和男総裁候補所信聴取の表題ページへ戻る

タイトルとURLをコピーしました