先日、政府が日銀の総裁と副総裁の候補者を決定しました。
総裁候補は元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏。
副総裁候補は、前金融庁長官の氷見野良三氏と、日銀理事の内田眞一氏の二人が提示されました。
この内、内田眞一氏は現在の黒田総裁の金融政策でYCC(イールド・カーブ・コントロール)の企画立案で中心的役割を果たしてきた人物だそうです。
この人事について、2月19日のNHK日曜討論で元日銀副総裁の岩田規久男氏と、元審議委員の片岡剛士氏が、植田氏の日銀総裁人事起用について、コメントしているので、ここに掲載したいと思います。
司会者「黒田総裁を支えた岩田さんです、今回示された人事案をどう見ますか」
岩田規久男氏
「岩田です、よろしくお願いします。
植田さんがどんな金融政策するかちょっとまあ分からないんですけれども一番わかるのは、
昨年の7月6日の日経新聞に出た論文で「日本は拙速な金融引締め避けよ」というのがあるんですけど、
今の あれでも金融政策が緩和続けるということを仰ってたけどでも、
やっぱり見直すとも、仰っててこれは今やってるあの長短金利操作っていうYCCと一般に言われてるんですけど、それをまあ変えていくと、
で彼の考えはまあ短期の金利中心にして まあ5年以上ぐらいの国債も買わないで市場の決定に任すということなんですけどね。
まあそうすると、どうしても中長期の金利はアメリカの金利に作用されて上がると言うふうになります
そうなるとあの2%の物価と経済下押し圧力を与えるし あまりにもの円高になりすぎると言うことで経済にも下押しがあって2%物価の目標というのは遠ざかると言うことを心配しています」
司会者「総裁と副総裁出身がそれぞれ異なる三人のこの体制どう見ますか」
片岡剛士氏
「そうですねあのまあ当初はですねサプライズ人事というふうに言われたわけですが、これはあのメディアの方がですね、まあある意味こう、『この方とこの方』っていう形でまあ非常にこう前提としてこう人事を出して、それが何かあの然もですね当然かのような形で進んだ側面っていうのがあると思うんですけれども、やはりその官邸の中でですね、こういう人事を決めているっていうのは非常にその少数のかたが決めていると言うところが今回も明らかになったのかなっていうふうに思います、
まあ あのお三方まあそれぞれですねあの非常にこう個性があるというか役割分担というのがしっかりしてるような気がするんですね、
でまあ一つはあのまあ日銀副総裁へノミネートされている内田さん、まぁこの方はもともとあの日銀の2013年以降のですね、量的緩和を主導して 来られた方の一人だと思いますので、ですからまあこれはこの方が金融政策としては一つメインになっていくのかなと思いますし、それから氷見野さんにつきましてはまあ金融のそのプルーデンス政策という形でですね、金融機関に対する政策というものをしっかり舵取りをしている役割、
それからまあ全体としてあの植田さんが采配すると、そういう流れですね、
あの非常にサプライズ人事であったと思うんですが、批判しづらい人事でもあるのかなと、まあそういう意味で手堅いと言うふうに言えるのかなと思っています」
司会者「岩田さんは新体制の課題どこにあると思いますか」
岩田規久男氏
「えー先ほど言ったようにあの金融緩和続けるとおっしゃってるけれどもまあYCCには修正が加わる可能性があると言うことでまあ中長期の債券国債等金利が上がる可能性が先ほどあると 言ったんですけど、
実は日銀のエコノミストの総括設計書っていうのがあってですねこのイールドカーブのコントロールのは、その『均衡イールドカーブ』というのを計算するんですけれどもまあそれによっていう研究が進みましてね、今のイールドカーブの形状がですね、『一番2%目標に達成するという可能性が高い』と そういう実証的理論的研究を実はこれ踏まえてるんで、なんかアバウトにこうこういうぐらいしたらいいんじゃないかって話じゃないんですよね、
でここは短期金利で昔は操作してたけど、今度全体のイールドカーブコントロールとの違いなんですね、でこれを作って執行部に出してくるのが内田さんがやってた、
内田さんが企画の局長やってらっしゃって、
で作ったまあ(内田さんを)一番信頼してやった人なんですからね、
ですから私はまああのこれを堅持すると、2%安定にはこれが必要だと言うことを、(内田さんが)植田さんにその進言して欲しいと 言うふうに思っています」
司会者「また岩田さんに聞きます黒田総裁が大規模な金融緩和を始めた当時副総裁でいらっしゃいましたけれどもなぜこの政策が必要だったんでしょう」
岩田規久男氏
「あの、よく『アベノミクス三本の矢』って言っているんですけどね、基本的にはあれは金融政策一本打法なんですよね、であの財政の方がもう14年度19年二回(消費税)増税して且つ基礎的財政収支の黒字化を急ぐという緊縮財政なんですよ。
で量的質的緩和というのは始めたのが2013年の4月なんで、翌年にもう増税すれば、
あの日本経済言ってみれば手術して入院中なんですよ、13年14年というのは、
それでもう増税するとね『もう退院しなさい』と、で『筋トレしなさい』って言っているようなもんでね、2%の物価上昇率にするのは無理なんで、そんなことしたらまあ。
そこがやっぱり2%にできない理由なんで、他の人はその消費税だとか緊縮財政のその物価下押し圧力の全く言わないで、むしろそんなことは起こらないって消費増税で賛成した方がね2%にインフレ達成できないって言っているのは元々おかしな話だというふうに思っています」
後は、他の出演者との議論なので、総裁人事とは関係無い話になります。
岩田規久男先生の話は、今後の日銀の金融政策を予測する上で、かなり重要だと思うので、ここに共有します。
この記事では、特に私の意見は書きません。