これより会議を開きます。 日本銀行総裁任命につき、同意を求めるの件についてでありますが、さて14日の理事会において木原内閣官房副長官から内閣として日本銀行総裁に共立女子大学ビジネス学部教授学部長。 植田和男君を任命致したい旨の内示がありました。つきましては、理事会の申し合わせに基づき、日本銀行総裁の候補者から所信を聴取することを致したいと存じます。この際、参考に出張要求に関する件についておはかりを致します。 本日参考人として日本銀行総裁候補者植田和男君の出席を求め、所信を聴取致したいと存じますが、異議ございませんか?
異議なし。
異議なしとみておりますよってそのように決定をいたしました。
ではまず議事の順序について申し上げます。
最初に植田、参考人に所信を述べいただき。 その後、参考人の所信に対する質疑を行ないますので、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
それでは植田参考人よろしくお願いいたします。
植田和男参考人
植田でございます。
本日は所信を述べる機会を賜り、光栄に存じます。 わたくしは内外の大学において、主にマクロ経済学、金融論、国際金融論の分野で。 研究と学生の指導に当たってまいりました。
また、この間、平成10年から17年までは審議委員として日本銀行の政策決定業務運営に参画致しました。 委員退院後はアカデミズムの世界に戻りましたが、日本銀行との関係では、金融研究所特別顧問などの立場でアドバイスを行ってまいりました。
また、金融政策の理論や実践について、国際コンファレンスなどの場で内外の学者だけでなく、海外中央銀行、市場関係者。 当の実務家とも議論を行ってまいりました。 まず、金融政策について私の考え方を述べたいと思います。
金融政策は景気と物価の現状、そして先行きの見通しに基づいて運営する必要があります。 現在我が国は、コロナ禍から持ち直しているところですけれども、長い経済や、金融市場を巡る不確実性は極めて大きい状態です。消費者物価の上昇率は4%程度と目標とする2%よりも高くなっております。しかし、その主因は輸入物価上昇によるコストプッシュでありまして。 需要の強さによるものではありません。 こうしたコストプッシュ要因は今後減衰して行くとみられることから、消費者物価の上昇率は来年度23年度半ばにかけて2%を下回る水準に低下して行くと考えられます。 金融政策の効果が発現するまでには、ある程度の時間がかかります。 金融政策の理論では需要要因による物価上昇には予防的に対応して需要を抑制する一方、コストプッシュによる一時的なインフレ率の上昇には直ちに反応せず、基調的な物価の動向に反応するというのが標準的な対応と考えます。 そうでないと、金融引き締めによって需要減退させ、景気悪化とその後の物価低迷をもたらすことになってしまいます。 この点わが国の基調的な物価上昇率は、需給ギャップの改善や中長期の予想インフレ率の上昇に伴って緩やかに上昇しているというふうに考えられます。 ただ目標の2%を持続的安定的に達成するまでには、なお時間を要するというふうに考えております。
こうした経済物価情勢の現状や先行きの見通しに鑑みれば、現在、日本銀行が行っている、金融政策は適切であると考えております。 金融緩和を継続し、経済をしっかりと支えることで、企業は賃上げをできるような経済環境を整える必要があります。
もし私が日本銀行総裁としてお認めいただきましたならば。 政府と密接に連携しながら、経済物価情勢に応じて適切な政策を行ない。 経済界の取り組みや政府の諸施策とも相まって、構造的に賃金が上がる。そういう状況を作り上げると共に、一時的でなく、持続的安定的な形で物価の安定を実現したいと考えております。
次に、日本銀行の金融政策についてやや長いタイムスパンで少しお話してみたいと思います。
わたくしが終身議員に就任いたしました。平成10年、当時、日本経済はバブル崩壊から、金融危機をへてデフレに突入したところでございます。一方で、政策金利はすでに0.5%下回る水準まで低下しており、通常の金融政策の範囲では、緩和の余地がほとんど残されておりませんでした。
このため、日本銀行は0金利政策、時間軸政策、量的緩和政策など非伝統的と言われた金融政策を世界で初めて次々に導入いたしました。
私はこれの立案過程に他の政策委員と相談しながら、主に理論面から参画致しました。 これらの政策のいくつか、例えば時間軸政策はその後、欧米の中央銀行でもフォワードガイダンス等として採用されるなど、世界の金融政策の標準にもなっていきました。
私が審議委員を退任した後も日本銀行は、量的、質的、金融緩和、マイナス金利政策、イールドカーブコントロールなどを採用し、世界でもまた歴史的にも大規模な金融緩和を実施してきました。
これらは実質金利の押し下げを通じて、企業収益や雇用の改善などに貢献し。 デフレではない状況を作り上げたと考えております。
一方で、様々な副作用を生じていますが、先ほど話した経済、物価情勢を踏まえますと、2%の物価安定の目標の実現にとって必要かつ適切な手法であると思います。
今後とも状勢に応じて工夫を凝らしながら、金融緩和を継続することが適切であると考えます。
これまで日本銀行を実施してきた金融緩和の成果をしっかりと継承し、新日銀行施行以来25年間、日本銀行にとってもまた私自身にとっても積年の課題であった物価安定の達成というミッションの総仕上げを行う5年間としたいというふうに考えております。
以上金融政策についてお話ししましたが、日本銀行のもう一つの重要な責任は、金融システムの安定でございます。 わが国経済にとって、金融仲介機能が円滑に発揮されることは極めて重要です。人口減少などは、国の金融機関、金融システムを取り巻く環境が厳しさを増すなか、この面でも適切な政策を実施してまいります。 また、銀行券の発行と流通決済システムの運営、国庫金に関する業務など、いずれも国民経済に必要不可欠なものです。 そして社会のインフラは安定的に運営して行くために、日本銀行の約5000人の職員と力を合わせて日々業務に当たってまいりたいと考えております。
どうもありがとうございました。
議長→
ありがとうございました。これにて参考人からの出身の調子は終了いたしました。議長、副議長はご退席をいただいて結構でございます。
自由民主党
立憲民主党
日本維新
公明党
国民民主党
日本共産党
閉会
議長
それではこれにて植田参考人の所信対する質疑は終了いたしました。
植田参考人、誠に大変ありがとうございました。
以上をもちまして日本銀行総裁の候補者からの所信聴取、所信に対する質疑は終了いたしました。
午後一時から委員会を再開をすることにしてこの際、休憩致します