2023年2月24日衆議院、植田和男総裁候補所信聴取・日本共産党

経済政策

 

日本共産党 田村貴昭(たむら たかあき)

 

はい 日本共産党の田村貴昭ですよろしくお願いします。

最初にデフレーションの原因と金融政策の今回に関して質問します。

バブル崩壊後日本のデフレとの戦いが、金融政策の最大の課題と言われ続けてまいりました。

しかしながら30年近く日銀は金融政策を続けてきたものの、デフレが解決したという状況にはなっていません。

2003年4月24日の奈良県金融経済懇談会において、当時日銀の審議委員であった植田総裁候補は次のように述べておられます。一般物価がこのように緩やかな下落が日本経済停滞の根本的な原因であるとは考えにくい、一方この間の資産価格の下落については東証株価指数や市街地価格指数がピークなら 70%から80%も下落するなど大恐慌に匹敵するほどの深刻なものとなっている。資産価格の下落は日本の金融システムに深刻な打撃を与え、引いては一般物価を含む実体経済全体に大きな影響を与えている。

 

そこでお伺いします。

90年代以降のデフレの原因というのは一体なんなのか総裁候補は資産価格の下落を当時ご指摘になりましたけれども、デフレが日本経済にどのような問題を起こしているのかつまり、デフレの何が問題なのかと言うことについて、展開を聞かせてください。

また日本銀行にとって、この間のデフレ問題がいまだに解消されない。この理由について、そもそも分析が誤っていたのか、日銀の処方箋が間違っていたのか。

総裁候補のお考えを聞かせてください。

 

植田参考人。

1990年代以降の日本経済的で長い目で、振り返ってみますと、やはり90年代から2000年代初めにかけて続きました地価株価の大幅な下落というものは、大きな影響を経済にもたらしたと考えております。

金融仲介機能を麻痺させ、これが経済の回復をまた遅らせたということでございます。

まあさらに踏み込んで申し上げれば、そこの処理を90年代にもう少し早めにする、ということができなかったために事態が並んでいたというふうに考えてございます。

ですからあのデフレの中に一般物価のデフレだけじゃなくて、資産価格のデフレまで含めますと、この場合金融仲介機能に強い大きなマイナスの影響が発生し、経済の足を長期にわたって引っ張ったって、いうのが一つ大きな当時からのマイナス点当時のマイナス点として指摘できるかなと思います。

資産価格の下落が続くという状況ではなくなってきておりますし、それから金融機関のバランスシートの回復してきております。

ただええ当時のデフレあるいはその後の0インフレ近辺の動きが長引いたことによりまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、そういうあの物価家賃をプラス方向に動かさないという動きが、ある種のよく言われる言葉でまあノルムという風になってしまったことが経済のちょっとしたプラスの動きが物価賃金あるいは、実体経済に波及して行くという動きを弱めてきたという面もその後消えなくなってきているように思います。

今これはちょっと、ようやく解消する兆しが出てきていると思いますが、そういう中で、これも先ほど別の形で申し上げてきましたが、この間に行われました金融緩和政策の効果が、一部あるいはかなりの部分、限定的であったという、ある種の副作用の出てきて金融緩和が長引いてしまった。ということなのかなというふうに認識してございます。

 

田村貴昭

政府や黒田総裁はアベノミクスはデフレでない状況を状態を実現する大きな成果もあがっていると、異次元金融緩和を自賛しています。

植田候補はこの10年間の金融政策の政策としてデフレは、デフレでない状況を状態を実現した。と、評価されておられますか。

もしそのように評価されているのであれば、金融政策が効果をもたらしたメカニズムについて解説をしていただきたいと思います。

またデフレではない状態に戻せたのであれば、なぜ日本銀行が目標とする2%のインフレを実現できていないのか。

併せて解説をしていただきたいと思います。

 

植田参考人。

2013年以降のデータを素直に並べてみますと、やはりあのそれ以前と比べましてインフレ率の平均的な水準は上がってきてプラスの領域であるということが言えるかと思います。その後デフレの局面にはっきりと陥ったのは、あのコロナの直後ぐらいでございます。

そういう意味でこの間の緩和政策が、デフレでない状況を作り出したということが言えるのではないか、というふうに思います。

その上で、メカニズムはどうであったかということでございますが、これはあの一般論になりますが、金融緩和政策、今回の場合は量的質的緩和やイールドカーブコントロールでございますが、それが低金利と資産価格にプラスの影響、金利であれば下がるという方向でございますが、与え、これが投資住宅投資非常にプラスの影響を及ぼして行くという、そこはあの教科書的なメカニズムが働いてきたのではないか、というふうに思います。

ただし、そうは申しましても0金利周辺でのオペレーションであったということ、それから海外等の、からのさまざまな外的ショックの中で、思ったほどの強い効果にはならず、2%にまでまだ達していない、と言うふうに考えてございます。

 

田村貴昭

日本銀行は2013年 1月に物価の安定目標を消費者物価の前年比上昇率2%と定めこれをできるだけ早期に実現すると約束を示しました。

総裁は物価上昇率2%をグローバルスタンダードとして現在の日銀は、その目標を下げずにいます。

要因はともあれですね一時的には2%を超える物価の高騰が国民の生活に重大な影響を与えています。

この中でコストプッシュ型とは言え、物価上昇率が2%を上回りそうな時に、中央銀行が物価物価の安定目標2%を掲げ続けて、金融政策の指標とすることに私は矛盾を感じます。

まあこれまでの物価安定目標2%にしてきたことについての、評価なんですけども、先ほどええ総裁候補は、この中で2%の実現が見通せることが見込まれる場合には、金融改革の正常化に踏み出すことができる。とまあそのようにおっしゃいました。

では正常化に踏み出すというその見通しについて、そしてその正常化というのはどういうことなのか、についてご説明をいただきたいと思います。

 

植田参考人。

まずあの足元、消費者物価指数の上昇率が4%なのに、なんで正常化しないのか、っていう、ご意見が広く国民の間にはあるかと思います。

私、その専門家あるいは中央銀行は、今日最初から申し上げます、申し上げておりますような理由で、定義するのは必ずしも容易でない、基調的なインフレ率を見て金融政策を決める、いう姿で動いておりますけれども、これはあの理論上グローバルにもそういうことでよろしいかと思いますが、国民への説明については、もう少し分かりやすい説明を、一段と工夫して行く必要があるかな、というふうに考えてございます。

その上で、あの基調的なインフレ率が2%に達する、ということが見込まれる状態になったときには、何をするんだ、というご質問だと思いますけれども、これはあの現在採用しています様々な強い緩和措置を正常、平時の姿に戻していくということでございます。

それが具体的に何を意味するのか、どういうタイミングでどういう順序で、正常化しているのか、という点について、ちょっとあの現時点では具体的にお答えするのを、差し控えさせていただければなというふうに思っております。

 

田村貴昭

もう、そもそも金融政策だけでデフレを止めることはできない、のではないかという疑問もあります。

例えば日本のデフレの原因が名目賃金の低下にあるとの見方、経済学者の吉川ヒロシ氏からも出ています。

1990年代後半大企業を中心に、高度成長期に確立された旧来の雇用システムが崩壊したことにより名目賃金は下がり始めた。そして名目賃金の低下がデフレを定着させた、との主張であります。

90年代の後半から政府は派遣法の改悪などによって、労働政策を大きく転換させ非正規雇用が拡大してまいりました。非正規雇用の率の上昇によって、平均賃金が抑えられる状況が続いていました。

賃金が上がらないことがデフレの原因との見方もありますけれども、総裁候補はいかがお考えになっていますか。

 

植田参考人。

ええ、まず金融政策だけでデフレを止められるかという点に関しましては、先ほど話題、もし申し上げておりますように、金融政策とその他の要因両方があのデフレインフレ物価に効いてくるということでございますから、その他の要因の動き次第ではデフレを金融政策 手で食い止めることは難しいということは、一般論としてあると思います。

その上で日本の賃金の動きでございますが、特に日本の賃金が大きく下がり、で、それにデフレの影響を持ったのは、90年代後半であると思います。

そのとき急激に賃金も物価も大幅に幅広いセクターで下がるということが起こってございます。

これはあの先ほどのご質問の等に対する私の解にもございましたが、バブル崩壊後の非常に金融システムに関する暗い雰囲気が実体経済に急速に波及した。その中で賃金を物価も急激に下落したということであるかな、というふうに思っております。

ですからあのそこの点を取り出しますと、大元の要因が賃金の下落である、っていうふうに捉えるよりは、そのまた元にありました「金融システムの不安定性」、それが賃金デフレに反映したというふうに、わたくしは捉えてございます。

 

田村貴昭

次に黒田総裁の異次元金融緩和の副作用に関して伺います。

植田候補はアベノミクスの当初、為替と株価が期待以上に動いたことと、長期金利がほとんど上がっていない点について、緩和政策が効いたからか、どうかよくわからない。というふうに述べておられます。

第二次安倍政権で大胆な金融緩和の政策表明がされました。直後の円安が一気に進んだことや株価が上昇した要因について、その関係性を総裁候補はどのようにみておられますでしょうか。

 

植田参考人。

2012年から13年当時はおっしゃるような、大幅な株価上昇が起こっております。それから長期金利につきましては、一時的に跳ね上がるという時もありましたけれども、比較的安定的に推移したということかな、と思います。

これは当時その、黒田総裁の下で実行されたような大幅な金融緩和が実行される、あるいは実行されるのではないか、という予想が資産価額に大きな影響を与えた、というふうに、わたくしは現在の時点では評価しております。長期につきましては、長期国債購入等が実施される大規模実施される、予想から抑えられていた、ということかなと思います

 

田村貴昭

ええ物価高騰についてですね、各国の中央銀行はこの物価高に対して金融引き締め策に転じ、国内価格の上昇を抑える方向に打ち出しています。

一方でコロナ日銀総裁は「現在の物価高騰はコストプッシュ型であり、持続的な物価高騰ではない」と金融政策での対応を否定されています。

まあ結局欧米の中央銀行と日銀との金融政策のギャップが、昨年の急激な円安の要因とも言われています。

近年の円安と日銀の金融緩和政策との関係について、認識を聞かせていただけますか。

 

植田参考人。

本当に 為替レートについて具体的なコメントはあの控えさせていただきたいと思いますが、それにいたしましても、近年の円安の背景として、内外金利差が影響及ぼしていた可能性については否定できないというふうに思っております。

で、その中で、しかし大きかったのは、米国のあの金利と、そのインフレ率を抑えようとするための金利上昇の動きだったというふうに考えてございます。

 

田村貴昭

この日本銀行がマイナス金利政策によって、日本の銀行がよたい業務で限界的には収益が出ないないし赤字業務となりつつあります。

とりわけ地域金融機関の収益は悪化をしています。でコロナ対策によって一息ついているという現象もありますけれども、基本的な構造は変わりありません。

政府は金融機関の合併か、他業務の収益拡大に銀行を求めています。こうした拡大を銀行に求めていますけれども、私はこれは本末転倒ではないかと考えます。

これについていかがお考えでしょうか。

 

植田参考人。

銀行の地方銀行も含めまして預貸利ザヤはどうも、低下、持続的な低下傾向がございますが、これはあの一つになって金利政策の影響があると思っております。ただし低金利政策の方、金融緩和政策の方は、ええ経済全体を持ち上げるという効果を通じまして、ええ銀行にはええさまざまなプラスの影響を及ぼしてきている、というふうに思います。

一方でええと言いますかもう一つのええ銀行収益をアップしているよう要員、あるいは利ザヤの縮小の要因としては、やはりええ経済の成長率の中長期的な低迷、特にこれは地方において一部の地方に深刻であるわけですが、これによって借り入れ需要が、あまり芳しくない。ようなことがあるかと思っております。

ここは政府の、様々な政策の、期待しつつ、経済の成長率生産性が上がっていく方向という、が方向感が出てくる、極めてそういう傾向を安定させるのに、重要ではないかなというふうに思っております。

その上でございますが先ほど申し上げましたように、金融機関現状では、基本的に充分な自己資本を要しておりますので、保有しておりますので、基本的な金融仲介業務に差し障りがあるという状況ではない、というふうに考えてございます。

ただし、さまざまな観点から近くの検討、見守っていきたいというふうに思っております。

 

田村貴昭

財政ファイナンスと日銀の金融政策に関してうかがいます。

日本銀行における国債の引き受けは財政法第五条により原則として禁止されています。

日銀のホームページには次のように書かれています、ちょっと読み上げます「地方銀行が一旦国債の引き受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ引いては中央銀行通貨の増発に歯止めがかからなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです。そうなるとその国の通貨や経済運営そのものに対する国内外からの信頼も失われてしまいます。これは長い歴史から得られた貴重な経験であり我が国だけでなく、各国で中央銀行による国債購入が制度的に禁止されているのもこのためです。戦前の軍事費の膨張を実現したのが日銀の国債引き受けでありました。

戦後のハイパーインフレの原因となりました」

1947年施行の財政法の起案者である平井平次氏、当時の大蔵省の主計局幸喜課長は財政法逐条解説の中でこのようにしています。

「戦争危険の防止については、戦争と公債がいかに密接不離の関係にあるかは、各国の歴史をひも解くまでもなく、わが国の歴史を見ても公債なくして戦争の計画遂行の不可能であったことを考察すれば明らかである」

また、解説には「公債のないところに戦争はない、本条は憲法の戦争放棄の規定を裏書き保証せんとするものである」とこういうふうに明記されました。

そこでお伺いします。

国債の半分を保有する日本銀行の現状について、これは禁止されている日銀の国債引き受けに当るのかどうかということです。

岸田政権は軍事費GDP 2%に引き上げるとしてですね、国債の発行を財源すると打ち出しました。このような国債引き受けについて政府からの要請圧力が起こった場合に、日銀としては、どのような方向性を考えておられますか。

お聞かせいただきたいと思います。

 

植田参考人。

これあのもちろん言うまでもなく、政府から直接購入するということはしない、ということでございます。

その上で先ほどらい申し上げておりますように、非常における国際会議では安定的持続的な2%の物価目標を達成するという金融政策運営上の必要から実施しているものでございまして、財政ファイナンスではない、というふうに考えてございますます。

 

田村貴昭

これはですね黒田総裁のサプライズ手法についてお伺いします。

異次元の金融緩和追加緩和マイナス金利の導入、そして反対方向で打ち出された長期金利の繰り上げ、まあこれは市場からですね、不信とか困惑の声が上がってまいりました。先ほど梅田総裁候補が平時からそうした話をしていくことが大事、そういうねのご発言がありましたけれども、まあそうであるならば基本政策の随時見直していく見直しをしていくっていうことがですね、私は求められると思いますけれどもいかがでしょうか。

 

植田参考人。

わたくしは現状では現在の基本政策を継続することが望ましいというふうに考えてございます。

しかし経済情勢が変われば先ほどこれも申し上げておりますように、それに応じて政策を正常化の方向に動かしたり、あるいは副作用への抑止策も取ると言うような、修正を施して行く必要があると思っております。で、これについては考え方をその時点その時点で決め細かく説明してまいりたいと思っております。

 

田村貴昭

終わります

 

議長

これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。これより自由主義をおこないます質疑をされる方は挙手の上委員長の許可を得て発言されるようにお願い致します。また発言の際は所属会及び使命を述べいただき一人一問1分以内として、頂きますようにお願いいたします。

それでは質疑のある方は挙手をお願い致します。

 

日本共産党 田村貴昭

どうぞ 日本共産党の田村貴昭です。

引き続き質問します。

昨年6月黒田総裁が講演で家計の物価に対する見方について、家計の値上げ許容度が高まっている。と発言をして国民の大きな批判、およびその後発言を撤回しました。

私も日銀本店で総裁との懇談の場で、この問題を出したことがあります。

メディアからも国民の実感から離れた発言は、金融政策への信頼を損ないかねない。との厳しい指摘もなされました。

日銀の生活意識に関するアンケート調査では物価上昇にどちらかと言えば困った事だ、これが86.8%、昨年の12月です。回を重ねることに上昇し、暮らし向きにゆとりがないが、過半を超えました。

収まるところのない物価高騰に、国民が悲鳴をあげています。

総裁候補にお伺いしたいのは、まずこの国民の思っていることについての、受け止め、そしてその際ご自身が日常生活の中で物価高騰を感じるところはどういうところにあるか、そしてこの打開の方向でありますけれども、日銀の緩和策は円安を招き物価高騰に拍車をかけています。

改めるところは、あるのかないのか、それについてお答えいただきたいと思います。

 

植田参考人。

黒田総裁の発言については、新聞紙上等で見て知っております。ただあのその元になったデータはおそらく、消費者が値上げ意図的に許容するということで、出てきたあのデータではなくて、いろいろなお店に行ったところ、どこでも値段が上がっているんで、やむを得ずあまりあちこち探さずに、普段から買っている店で、高いものを買うと、いうことの結果をとられたデータであるかな、と思います。

そこの点について表現ぶりの点について黒田総裁も陳謝されたということは承知しております。

その上で、あのこうした消費者の、特に生活必需品の価格変動に対する敏感さについては、注意深く中央銀行としては見守っていかないといけないな、というふうにもちろん考えております。

私自身が実感するところはあるのか、というご質問もあったかと思いますが、そうですねあの大学に勤めておりますので、毎日あの昼ごはんはコンビニのお弁当で済ませております。ここ一年くらいの間に例えば450円くらいの弁当が500円を超す水準まで値上がりしたなと、いうあたりは実感しております。

植田和男総裁候補所信聴取の表題ページへ戻る

タイトルとURLをコピーしました