GDP統計2024年4-6月期・1次速報
2024年4-6月期・1次速報が公開されました。
2024年4-6月期・1次速報(2024(令和6)年8月15日公表)
四半期の年率換算では、名目GDPで遂に607兆円を達成しました。
安倍政権の目標であった「名目GDP 600兆円超」を岸田政権でようやく達成した事になります。
途中、パンデミックなど障害もありましたから、時間がかかったことはしかたがないと思います。
実質GDPの値も成長しております。
四半期実質成長率は 0.8% で、年率換算で 3.1% となります。 四半期名目成長率は 1.8% で、年率換算で 7.2% です。
全体として良い結果が出たと思います。
GDP統計の内訳
実質季節調整寄与度に注目します。
実質GDP +0.8 の成長率の内訳として、
GDP項目 | 寄与度 |
---|---|
民間最終消費支出 | 0.5 |
民間企業設備 | 0.2 |
公的固定資本形成 | 0.2 |
輸出 | 0.3 |
輸入 | -0.4 |
という結果が出ており、これまでなかなか伸びなかった消費 (民間最終消費支出) が伸びているのが、わかります。
輸出が伸びて、輸入が減少しているのは、円安の影響と考えられます。
これまで輸入品で済ましていた物を、国産品に代替する事が進んだと考えられます。
設備投資や公共投資は、これまで通り伸びています。
以前の四半期は公共投資が伸び悩みましたが、今回は伸びています。 前回は人手不足などで受注が伸びなかったようですが、今回は受注できたのでしょうか。
今回は、一次速報なので、設備投資や在庫などが二次速報で、上振れする可能性があります。 つまり、GDP値も上振れする可能性があります。
前年同月比はまだマイナス
四半期の1-3月期との比較では、実質GDPが大きく成長しましたが、23年4-6月期との比較である前年同月比では、ややマイナス成長となります。
四半期 | 名目GDP(兆円) | 実質GDP季節調整値(兆円) |
---|---|---|
2023年4-6月期 | 594 | 562 |
2024年1-3月期 | 597 | 554 |
2024年4-6月期 | 607 | 558 |
実質GDPなどの実質値とは、名目値からインフレ率の影響を差し引いた値です。
2023年はウクライナ戦争の影響による海外資源高と天候不順による野菜価格高騰が重なり、コストプッシュインフレによる実質GDPや実質賃金低下に悩まされた年でもあります。
前年同月比の実質値は、過去一年間のインフレ率の平均値に基づいて計算しますから、2023年のコストプッシュインフレの影響が実質GDPに現れます。
この2023年のコストプッシュ・インフレの影響が完全に剥落するのは、来年(2025年)なので2024年の実質値にはどうしても高コストプッシュ・インフレ率の値だけ、実質GDPが低く計算されてしまいます。
私は、この2023年コストプッシュ・インフレの影響の出た前年同月比実質値は、あまり意味の無い数字だと思っています。
ちなみに2024年1月には資源と野菜のコストプッシュ・インフレが終わっています。
岸田政権の経済対策
昨年末に決定した岸田政権の総合経済対策は、23年24年合わせて真水で17兆円に相当します。
この経済対策がほぼ実施し終えるのが7月頃なので、今回の24年4-6月期GDPは比較的良い結果が出るだろうと予測はしていました。
ただ、私はもう少し悲観的な予想をしていて、財政出動が消費に反映するまで数ヶ月程度の時間がかかるだろうと思っていました。 GDP統計に良い数字が出るのは、次の24年7-9月期になるだろうと思っていましたが、実際には4-6月期に消費が伸びる良い結果が出ましたね。
おそらく、4月の賃上げの結果として消費が伸びたのだと思います。
経済対策の結果は次の四半期に出てくると思うので、24年7-9月期はもっと良い数字が出てくるのではないでしょぅか。
岸田総理ご苦労様でした
14日に岸田総理は次の総裁選に出馬しない事を宣言し、退任する事になりました。
今回のGDP統計は、退任を決定した岸田政権の成果を現す物となったと言えます。
岸田総理に対しては「長い間、ご苦労様でした。ありがとうございます」と申し上げたいと思います。
次の政権担当者が、おかしな経済政策を実施せず、岸田政権に続きこのままアベノミクスの仕上げを遂行すれば、日本経済は順調にデフレ脱却を達成できると思います。