これまで私は何年も経済政策において「リフレ派」と呼ばれる政策グループの提唱する経済政策を支持してきました。
リフレ派の提唱する経済政策を実践したものがアベノミクスです。
インフレ2.0%を目標とする政策で、インフレ率が2.0%を下回るのなら金融緩和と財政拡大政策を、インフレ率が2.0%を上回るなら金融引締めと緊縮財政を実施する政策です。
リフレ派と呼ばれているグループの人々は、特に何か共通の結社や組合などに所属している集団ではなく、個々人がバラバラにインフレ目標政策を提唱している経済学者やエコノミストの事を示す言葉です。
昔は、提唱する政策内容がほぼ同じような内容だったので、外部の人々が一つの政策グループとして「リフレ派」と呼び区別したのだと思います。
安倍政権と菅政権のころは、この「リフレ派」の人々は、ほぼ政権支持で纏まっていました。
しかし、植田総裁が日銀に就任してから一部のリフレ派の人々は、日銀に対して非常に批判的になりました。
特に今年三月の金融政策変更からこの一部批判的な人々による、植田日銀批判が激しくなりました。
その批判内容は、ざっくり言えば「植田日銀は金融引締めを強行して日本経済をデフレに転落させてしまう」という内容の批判です。
私には、ただの「言い掛かり」にしか見えません。
植田日銀の金融政策変更は、「インフレ率が目標に近づいてきたので、金融緩和の速度を少し減速しただけで、金融緩和は継続する」という政策変更です。
金融引締めには、ほど遠い内容です。
「リフレ派」と呼ばれる人々は、日銀審議委員の中にも存在し、その方々は全員が金融政策変更に賛成しています。
また、日銀の外に居る人々は、個々人によって3月の金融政策変更の評価が割れていて、統一されていません。
「早すぎる政策変更だが引締めでは無いので、しばらく様子を見る」という意味で「中立様子見」の立場を取っている人達も多いです。
リフレ派の人々は、現在だいたい三つのグループに分かれていると言えるでしょう。
三つのグループに暫定的に名を付けると、親植田日銀派、中立様子見派、反植田日銀派の三つです。
このように現在の日銀の金融政策に対する評価が分裂しているグループを、「一つのリフレ派」という政策グループとして捉えることは不可能です。
実質的に政策グループとしての「リフレ派」は既に消滅していると見なすべきでしょう。
私としても、この分裂した現実の前では、「リフレ派支持」を継続するのは不可能なので、最低限「元リフレ派」の人々の、親植田日銀派・中立様子見派・反植田日銀派の中から支持する対象を選択しなければなりません。
私は、植田日銀の金融政策変更は正しいと思っています。
よって、現在の日銀審議委員の中の人々を中心とした「親植田日銀派」を支持したいと思います。
そして、既に説明したように、「一つの政策グループとして消滅したリフレ派」の支持は辞めることにします。
以上です。