資産家がなぜ雇用されて働こうとするのか?勤勉すぎる日本人

時事

ある資産家の「引きこもり」問題記事

今日、以下の不思議な内容の記事を読んで、考え込んでしまいました。

 

「お金があったのが不幸の元かも」ひきこもり息子を支える、裕福な62歳・パート主婦の嘆き

 

内容を大雑把に説明しますと、ある資産家の家族がいて、そこの子息が引きこもりになってしまったそうです。

父親は事故で他界しており、息子が引きこもりのまま、中年になってしまったそうです。

資産家なのでお金には困っていないということです。

 

母親の方は、

「息子がニートだなんて、とても相談できません」

「息子には私が生きているうちに働いてほしいです。私が亡くなっても遺産がありますので、生活自体はどうにかなるとは思いますが、このままでは、あまりにもあの子が哀れなので……」

と悩んでいるようなのです。

 

この記事を読んで、私は、正直「何が問題なのだろうか?」と悩んでしまいました。

この家族は、経済的には何も問題を抱えていないのです。

資産家ですので、母親の老後は安泰であるばかりか、ニートの息子の老後も安泰なぐらいのお金持ちなのです。

どう考えても働く必要の無いご身分です。

 

この62歳の母親は、頑なに「人間は雇用されて労働しなければならない」と思い込んでいるようですが、本来は労働というものは、生活費を稼ぎ生きていく為に行うものですので、資産家で労働しなくても生活費に困らない身分の人間が、労働する必然性はありません。

 

国全体のマクロ経済の視点で考えても、この金持ちニート息子の方が、無理して労働する必然性は無いです。

なぜなら、現在の日本は潜在供給能力の総量に対して、有効需要が10兆円前後不足しているデフレ経済の状態にあるからです。

GDPは需要の合計です。

以前の記事に書いたGDPの数式を思い出してみましょう。

 

GDP=政府支出+民間投資+民間消費+輸出-輸入

 

今の日本に不足しているのは、生産能力ではなく、消費や投資です。

このマクロ視点で見ますと、先の資産家ニートの行うべきことは、破産しない程度に消費をすることと、余剰資産を株式などに投資した方が、国家経済に貢献します。

今後の生計維持の為にも、余剰資産は投資運用して、資産価値を増加し、配当収入を得た方が堅実です。

 

どう考えても、資産家ニートが、雇用されて労働する合理性は無いと私は思います。

 

引きこもりの何が問題なのか

率直に言って、私は「引きこもり」の何が問題なのか分かりません。

親が勝手に「引きこもりは問題だ」と思い込み、子供を責めてメンタルの問題を引き起こしているだけに見えます。

子供が「引きこもり」になっていても、先の資産家家族のように経済的に問題が無ければ、「引きこもり」のままでも良いのではないでしょうか?

確かに「引きこもり」を抱えている世帯の中には、経済的に困窮している世帯も多いです。

しかし、この問題は「貧困」や「経済的困窮」が問題なのであって、「引きこもり」が問題と考えるのは、筋違いに思えてなりません。

「貧困」や「経済的困窮」の問題を抱えているのは「引きこもり」だけではなく、病人や障害者や介護離職者やシングルマザーやヤングケアラーなども、「貧困」や「経済的困窮」の問題を抱えています。

そして、これらの個別の問題を抱えている人全てが「貧困」や「経済的困窮」の問題を抱えているわけではありません。

「問題解決」の面から考えて、個別の問題を解消することが、「経済的困窮」の解消になるとも思えないです。

「経済的困窮」の問題を解決したいのなら、生活保護や障害年金給付の拡充や、「負の所得税」制度の導入でも実施した方が、マクロ経済視点で考えても有益です。これらの政策を実施すれば、間違いなく「需要拡大」に繋がりますから。

個別に「引きこもり」やシングルマザーやヤングケアラーなどの問題を解消しようとしても、切りが無いと思います。

これらの個別の問題は、全てお金があれば解決しますし、既に資産家ならば問題ではないのです。

 

貯蓄と労働が宗教になっている日本人

日本の場合は、天皇陛下が田植えの儀式をするぐらいですので、勤勉と労働が宗教的信仰になっています。

宗教的というより、宗教そのものですね。

 

だから、「引きこもり」のように「働いていない人」を見ますと、条件反射的に「働かせなければならない」と思い込むのでしょう。

 

しかし、先に説明したように、マクロ経済視点でみれば、消費と投資が不足していますので、資産家は働くより、消費と投資に精を出した方が国民の利益になります。

資産家自身の生活の為にも投資で稼いだ方が有益です。

 

政府もiDECOやNISAの非課税枠を拡大して、「貯蓄から投資へ」というスローガンを繰り返しアナウンスしています。

国家レベルで、「貯蓄過剰の投資不足」が問題になっているからです。

 

今の経済の状況から考えても、貯蓄と労働を美徳とする信仰は、抑制した方が国民の幸福のためになるでしょう。

 

さらに言えば、金持ちニートを無理に働かせるより、健康で元気な高齢者に短時間労働でも良いですので、就労機会を与えた方が、社会保障費負担の面から考えても有益でしょう。

 

日本人の「引きこもり」に対する問題の捉え方は、現実離れしており、本来問題ではないものを、不必要に問題化しているように思えます。

先の金持ちの「引きこもり」の息子は、放っておいて問題ありません。

そのまま、ゲームのプロにでもなれば良いのではないでしょうか?

家で所得を得る方法など、いくらでもあります。

ゲームに近いところで、デザインやイラスト・動画編集・ライターなどの仕事もあります。

企業と雇用契約を結ぶことに拘る必然性は無いと思います。

 

勤勉は美徳ではない

率直に言って、私は「勤勉は美徳ではない」と思っています。

 

先に説明したように、マクロでは供給過剰の需要不足ですので、労働などの生産活動より、消費や投資を増やすことが、日本経済には必要です。

 

国民個々人のリソースは、ある程度企業から家計に戻して、家計の中で育児などの消費にもっと国民のリソースを使うべきでしょう。

家計の消費が伸びればGDPも伸びます。

需要不足経済の中で、企業の生産能力を伸ばしても「売れ残り」が増えるだけで、GDPは成長しません。

今は、消費と投資を増やすことに専念すべきです。

 

需要不足経済の中では、「勤勉の美徳」信仰は、経済を悪化させる方向に作用します。

日本国民は、全体的には、もう少し労働を減らして消費生活を謳歌すべきでしょう。

非合理な信仰を継続して国益を損なう必要はありません。

 

また、AIやロボットなどのテクノロジーを発展させるためにも、テクノロジー分野に投資を拡大する必要があります。

資産家はテクノロジー分野に投資すべきですし、テクノロジーが発展する為にも市場は人手不足であるべきです。

人手不足なら設備投資が進み、テクノロジー企業が成長します。

 

先の資産家ニートの親子は、テクノロジー企業に投資して、たまに親子で旅行にでも行けば良いのではないかと思います。

「引きこもり」が働かなければ、人手不足は継続し、自動化などテクノロジー需要が増します。

本人が経済的に困っていないのなら「引きこもり」を解消する必要は無いです。

堂々と「引きこもり」を謳歌すれば良いのではないでしょうか?

「勤勉の美徳」などという非合理な信仰に囚われる必然性はありません。

 

一般の労働者も残業などしないで、定時で帰宅すべきだと思います。

そうすれば設備投資が増えることでしょう。人手不足で賃金も増えます。

今の日本では、勤勉は悪い方向へ作用します。

仕事は基本的に機械に任せる方向の努力をすべきでしょう。

タイトルとURLをコピーしました